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陰陽戦記TAKERU 前編

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 その翌日、俺達は仕度を整えると表に出た。
「ちょっと早く、バスに間に合わないでしょう!」
 加奈葉は門の向こうで俺達に手を振った。
 今日は3人で美和さんの生活用品の買出しに行くと約束した。
「すみません、居候なのにここまでしてもらって……」
「ああ、いやいや…… バイト代も入ったし平気だよ」
 何しろ昨日が給料日だったからな、
 本当は買いたい漫画もあったんだが、美和さんの為なら惜しくない。
「おい加奈葉、慌てなくたってデパートは逃げねぇぞ! ってかバスの時間はまだあるだろうが」
 バスがバス停に到着するまであと1時間以上はあるしバス停には歩いて15分くらいの場所にある。
 しかも美和さんの為の買い物に何故こいつが着いて来るのかと言うとそれは美和さんの服選びだった。
 実は今美和さんは白いYシャツに紺色のネクタイ、そして紺色のカジュアルスカートに膝の下まであるブーツと言う井出達だがこれは全て加奈葉の古着だった。
 加奈葉は面白がって美和さんを着せ替え人形みたいに自分の服で着飾る事を楽しんでいた。
 美和さんもまんざらでもないみたいで色々な服を着れる事を喜んでいた。
 そう言う所は現代の女の子と変わらなかった。
「さぁさぁ行くわよ!」
 加奈葉の奴がうるさいので仕方なく歩き出した。
 案の定バスが来るのにかな〜り時間があった。
 俺は仕方なく近くの自販機で飲み物を買ってきた。
 俺はカルピス、加奈葉は確か炭酸が好きだからコーラ、美和さんはオレンジジュースを買った。
 この前バーガーショップで飲んで以来よほど気に入ったらしく冷蔵庫にいくつか買っていれてある、そう言えば平安時代に蜜柑ってあったっけ?

 しばらく待つとバスがやって来た。
 案の定美和さんは不思議がっていた。
 俺達は乗り込んで開いている後ろの席にやって来た。
 向かって左側が美和さん、真中が俺、左が加奈葉だった。
 やがてバスが動き出すと美和さんは肩をビクつかせて俺の腕にしがみ付いた。
「う、動きました。武様っ!」
 美和さんは少し怯えていた。
 ヤバイ、メチャクチャ良い、思わず顔がにやけてしまう……
「ム〜……」
 しかし俺の後頭部からかなり冷たい殺気だったオーラを感じた。
 後ろに控える人物の顔を見たら石になるだけじゃすまないだろう、恐らく粉々に砕かれて海に捨てられるくらいの事をされそうなほどの凄まじく殺意を秘めていた。