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陰陽戦記TAKERU 前編

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 それか一週間の月日が流れた。
 俺は学校の帰り道、智之と供に商店街を歩いていた。
「腹減ったなぁ、バーガー食ってかね?」
「お前食うことばっかりだな……」
 智之は少なくとも俺の5倍は食っている、まるで某バトル漫画の主人公だった。
「きゃああああっ!」
 その時だった。
 突然悲鳴が聞えたかと言うと目の前で鉄パイプを持った男が暴れていた。
 俺達よりほんの少し上くらい、大学生だろう目が完全にイってしまっていた。
 男は鉄パイプでショーウィンドウのガラスを叩き割っていた。
「オイオイ、マジかよ……」
「下がってろ、」
 すると智之はバックを下ろして上着を脱ぎ捨てると男に近づいて行った。
「きぇえええっ!」
 男は鉄パイプで智之に襲い掛かる、しかし智之は軽く避けると素早く後ろに回りこんで両手で男の胴回りに手を回すと思い切り力を入れて持ち上げた。それは智之の十八番のジャーマンスープレックスだった。
 脳天を叩きつけられた男は泡を吹いて気絶した。
「ケッ…… 口ほどにもねぇ野郎だ」
 いや口ほども何もやりすぎなんじゃ……
「何言ってんだ。自業自得だろうが」
「いや、それはそうだが…… ん?」
 すると俺は信じられない物を見た。
 突然男の耳から何かが這い出てくるとそれは小さな蜘蛛みたいな生物だった。
 太い腹には赤い一つ目がギョロギョロと動いている。
「何だこりゃ?」
「ん?」
 俺が言うと蜘蛛は黒い粒子となって消えてしまった。
 智之もそれは見たはずなのだが……
「何言ってんだ? 何も無いぞ?」
「はぁ? 今この男から虫が出てきたんだぞ、見てなかったのか?」
 すると智之は首を横に振った。
「見間違いじゃねぇのかよ?」
 いや、確かに出てきた。
 しかも目の前で消えるなんてもしかしたら……
 俺は智之と別れると大急ぎで帰宅した。すると加奈葉もいて商店街で起きた事を話した。すると美和さんは言った。
「鬼の仕業ですね」
 やっぱりそうだったと俺は納得する。
「じゃあ何、鬼は昼間も動けるって事?」
 すると美和さんは困惑する、
「鬼が本格的に暴れるのは夜です。ですがその人に憑依していた鬼は人々の欲望を刺激する物だったのでしょう」
「でも消えちまったぜ? もう出てこないんじゃないのか?」
「いえ、もしかしたら複数で動いているのかもしれません」
 鬼の中には増殖し数を増やすタイプもいると言う、しかし大して強くないと言う。
「じゃあほおって置くの?」
「いえ、鬼は浄化させなければなりません、どんなに小さな鬼でも……」
 美和さんは顔つきが険しくなった。
 奇麗な顔に似合わない表情に俺は思わず息を飲んだ。