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陰陽戦記TAKERU 前編

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 その翌日、俺は美和さんを連れて例の場所に向かった。
 空の裂け目はすでに消えてしまい青空が広がっていた。
 夜が明けたと言う事もあり人の影も結構ある。
 ちなみに美和さんが着ている服はあの陰陽師の服ではなく加奈葉が服を貸してくれた。何しろあの服じゃ目立ちすぎるからだ。
「ここで美和さんを助けたんだ」
 そして俺は光が飛んで行ったと言う方向を指差した。
 そして俺の横にいる奴が地図とコンパスを両手に方向を調べた。
「えっと…… つまり丁度東西南北4つの方向に飛んで行ったって事になるわね」
「っておい……」
「ん?」 
「何でお前がいるんだよ?」
 加奈葉は俺は事件とは無関係と言っていたがこいつが一番関係ない、なのに何でこいつがここにいるんだ?
「いいじゃない別に……」
「別にってお前……」
 俺は眉を細めると美和さんが話してくる、
「あの武様」
「えっ?」
「麒麟の宝玉を見せてください」
「ああ、これ?」
 俺はポケットから黄色の玉を出して差し出された美和さんの白い手の上に乗せる、
 剣の方は(銃刀法違反で)持って行けなかったが宝玉を持っていればどこにでも鬼斬り丸を呼び出せると言うのだ。
 ただし窓は開けておかなければならない、呼び出す度にガラスを割ってたら金がいくらあっても足りないからな、
「……やっぱり」
「どうかしたの?」
「麒麟は殆ど力を失ってます、恐らく他の聖獣達も……」
 美和さんの話では暗黒天帝に最後の一撃を加えた時に全ての力を使い果たし、一時的にどこかで眠っている可能性が高いと言うのだ。
「麒麟の方はどうするんだ?」
「麒麟は他の聖獣を探せば本来の力を発揮します、そもそも麒麟は中央を司る聖獣の長ですから」
「へぇ、そうなんだ」
「でも今は無理みたいです、聖獣達に何かあれば反応があるはずなんですけど」
 そりゃ誰だって傷つけば体力回復に専念するだろう、
 いくら方向が分かってもどこに落ちたのか分からなければ帰って効率が悪い、ようするに待つしかないと言う事だ。
「じゃあどうするんだ? このまま何もしないで待つか?」
「でもアンタ達が言う怪物が襲って来たらどうするのよ?」
「それは大丈夫だと思います」
「何で?」
 昨夜俺達を襲った敵は明らかに今まで戦った奴と違って大した力が無いと言う、
 もし本調子ならばもっと強力な刺客を送ってくるはずだと言うのだ。
「向こうも力を使い果たしてバテてる可能性が高いって訳か」
「はい、それに暗黒天帝が力を発揮できるのは陰の気が強い夜ですから」
「少なくとも夜までは安全って事ね」
「まぁ、暗黒天帝が人に憑依していなければの話ですけど」
「憑依?」
 美和さんの話だと暗黒天帝は先の戦いで体を失い今では精神体になっているらしい、
 だけど物や人に憑依する事ができると言う、つまりこの周囲に居る人間達に紛れている可能性もある。
「でも、暗黒天帝が憑依できる人間は限られてます、欲望の強い人間にしか憑依できませんから」
 人間は少なからず欲望を持っている、
 俺や加奈葉も例外じゃ無いがそう考えるとどいつもこいつも怪しく見えてくる、
 俺はともかく美和さんは顔を知られている、すると加奈葉が……
「じゃあこうしましょうよ」
 加奈葉は美和さんとブティックに連れて行った。
 俺は外で待っていたがやがて2人は出てきた。
 しかも美和さんの髪型が変わっていた。前髪をほんの少し分けて腰まであった艶のあるストレートを左右に分けてツインテールにして少し化粧をしてきたと言うのだ。一瞬誰か分からなかった。
「女の子ってのは髪型で変わるのよ」
 その考えはどうかと思うが美和さんもまんざらでもなく気に入ったみたいだった。
 まぁやっぱり少し変装する必要はあると思うが……
「そうだ。美和さん腹減らないか?」
「そうよね、もうすぐお昼だし……」
 俺達は美和さんを連れてハンバーガーショップに連れて行った。
 無論美和さんはハンバーガーなど知らなく、不思議そうに見ていた。
 やがて食べ物だと分かると一口頬張り美味いと言ってくれた。
 まぁ嫌いな奴はそうはいないだろうが気に入ってくれて何よりだった。俺が作ったんじゃないがな……