陰陽戦記TAKERU 前編
その頃……
『観える、観えるぞ…… 人々の怒り、人々の憎しみ、人々の妬み……』
暗黒天帝の目には映っていた。
無益な暴力で人を傷つけあい、弱き者から金を奪う、その虐げられた人々の負の感情が暗黒天帝の糧となるのだった。しかし……
『ぬぅ、だがまだ足りぬ……』
美和との戦いで暗黒天帝は力の殆どを使い果たしてしまった。
しかも聖獣の力が影響しているのか回復が遅い、いくら負の波動が溢れていてもそれは一時的な物でしかない、もっと深くて果て無い欲望が必要だった。
今できる事は分身を作り放つ事だがそれも大した力もない下級の使い魔だった。
『この世界にも奴らがいるとなると厄介だ。しかし聖獣達も力を使い果たしているはず、ここは焦らずに時を待つとするか……』
暗黒天帝はしばらく様子を見る事に決めるとその場から姿を消した。
作品名:陰陽戦記TAKERU 前編 作家名:kazuyuki