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ツカノアラシ@万恒河沙
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novelistID. 1469
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Rの晩餐

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のんびりとした声に、佐藤と塩野は自分達の目的を思い出した。慌てて、ジャンバーの内側から各々ナイフと拳銃を取り出す。そして、今まで何人もの人間を恐怖のどん底に陥れた事がある自慢のドスの効いた声で脅しの言葉を吐く。しかし、佐藤と塩野の思惑とは違い、部屋の主とその従者は彼らの脅しに顔色ひとつ変えなかった。悲しすぎるのも程がある。いと、あわれ。それどころか、気がつくと二人は書斎のソファーに座り、仲良くお茶を飲んでいると言ったていたらく。もう、二人とも何が何だか解らなかった。因みに、出された若い男の手作りだと言うケーキとお茶は、とてもおいしかったそうである。
そして、佐藤と塩野は目の前でにこにこ微笑んでいる相手を変わり者で惚けた人物と踏んで、何気なく宝石のコレクションの話を出してみた。素晴らしいものと聞いているので、少しだけでも是非見せてほしい。盗むのは諦めたからなどど、心にもないことを言う。その言葉に『少年探偵』は、にこにこ笑うと背後の小さい扉を指差した。どうやら、二人に扉に入れと言いたいしい。何となく厭な予感がしたが、宝石の誘惑には勝てずに、あれよあれよと言う間に、何故か二人は書斎の奥の小さな扉に入る事になってしまった。
ミイラ取りがミイラになるとはこういう事を言うのだろう。
小さな扉の中の部屋には、ピンクと青に占領されていた。フランスの写真に出てくるような可愛らしい子ども部屋だった。きゃあ、きゃあ、きゃあ。姿の見えない子どもが走って来た。姿の見えない子どもは、二人に纏わりつくと拳銃を奪って、次の間へ走って行ってしまった。二人は顔を見合わせると、姿の見えない子どもを追いかける。鬼さん、こちら。手の鳴るほうへ。
今日のお献立その一、『スープ』血のように真っ赤なスープ。
次の間は、寝室。床には、白墨で人型が書かれていた。まるで殺人事件の現場のようである。寝台の上には、理科室にあるような大きな壜。何故、こんなところに壜があるのだろうか。目が点になる。
壜の中はみるみる内に真っ赤な液体で満たされていく。それに伴い、何となく二人の顔から血の気が引いていったように見えるのは気のせいだろうか。
今日のお献立その二、『前菜』強盗の腕肉のサラダ仕立て。