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ツカノアラシ@万恒河沙
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novelistID. 1469
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Rの晩餐

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姿の見えない子どもは、嬌声を上げながら二人の周りを走り回る。ふと、二人気がつく。いつのまにか、自分たちの片腕がない事を。喉の奥から絞りだすような悲鳴。いつ、どこでなくなったのだろうか。二人に思い当たる節はない。普通、腕がなくなって気がつかないと言うことがあるわけもない。
二人は、こけつまろびつ、寝室から走り出た。何かがおかしい。ここから、逃げなくていけない。二人は大慌てで逃げ場を探す。廊下には先ほどはなかった階段があった。二人は後先考えずに、渡りに船とばかりに階段を下りた。いったいぜんたい、どこに出口があるだろうか。因みに、階段がいきなり現れるなんて、どう考えても罠としか考えられないのですが。
今日のお献立その三、『メイン』強盗のステーキ、オレンジソース添え。
階段を下りると、そこはバベルの図書館のような書斎だった。左右には、白い扉があった。片一方の扉には、『食堂』と書かれた札が掛かっていた。扉の向こうからは、楽しそうな声がする。
「早くおいでよ、めいんでぃしゅ、めいんでっしゅ、いらしませー」
強盗達は、ようやく自分達の置かれた状況が解ったらしい。二人は声にならない悲鳴をあげて、われ先に『食堂』ではない扉へと突進する。扉を開け放つ。そこには、凶悪な顔をした白兎と黒兎がいた。二羽は、手に持ったナイフとフォークを頭上に上げ二人に向かってにたりと笑ってみせた。口の中は真っ赤かっか。
「めーし、めーし、めーし」
「めーし、めーし、めーし」
今日のお献立その四、『デザート』強盗のシャーベット、頭蓋骨の入れ物入り。
白兎と黒兎はご機嫌。おなか一杯。大満足です。今日も美味しく戴きました。因みに、白兎と黒兎の口元には、赤いものがべっとりと付いていたのは、言うまでもない。
その頃、どこかの書斎ではくすくす笑う声。
「全く、姉さんったら。自分のペットの食料ぐらい、自分で調達して欲しいですよね」
どこか遠くで聞こえる悲鳴を聞きながら、『少年探偵』はにっこり笑いながら言う。新たにお茶を淹れ直している若い男も、それを聞いて同感とばかりに軽く頷く。しかし、二人ともどこかしら楽しそうに見えて仕方がない。それにしても、こんなに回りくどい方法でわざわざ入手するようなものだったのだろうか。謎である。もしかしたら、ただの趣味なのかもしれない。夜はどんどん更けていった。とんてんからりん・しゃん。