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ツカノアラシ@万恒河沙
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異人館

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『清廉潔白探偵事務所』は、世にも珍しい怪奇事件専門の探偵事務所である。警視庁猟奇課の素行不良の警部が入り浸っていると言う話もあるが定かではない。探偵事務所と共有のフラットには、とある主従が住んでいる。主従は親子のような友人のような恋人のような不思議な関係に見える。ある者に言わせれば二人は主従ごっこをしているだけにすぎないと言う。理由を聞くと、その人は従者が主が幼い頃に何処かでかどわかして『完璧な主人』を育てたと言う噂を聞いた事がありますと周囲を憚りながら低い声で言った。一体全体、『完璧な主人』とは何ぞや。今日も白い着物に黒い帯の美少女がぎこちない動作で、事務所に入って行く。
オテル・エトランジュとは、こういうところ。

さてさて、オテル・エトランジュの周りはどういうところ?
オテル・エトランジュに行くには、いまにも幽霊が立っていても不思議ではないような柳の木の横にある『傀儡堂』の横の細い石造りの細い坂道を下りて、坂道の下に並ぶは小さいが奇妙な商店街を通って五分程歩くとたどり着きます。
途中にある商店街は商売気がないのか、いつ訪れても商店街はしんと静まり返っている。その上、路上を歩く人影もまばらである。
石畳にするすると影が伸びる。姿の見えない子供のはしゃぐ声。奥にはどこへ行き着くのか先の見えない何十にも連なる赤い鳥居。石畳。くすくす笑う少女の伸びる影。ひとたびこの町に足を踏み入れると帰れなくなるらしいと、あるヒトが至極真面目な顔をして語っていたのが印象的な町である。

『傀儡堂』(骨董品商い)
町の入り口にあたる木造の小さな町屋風のお店は、一歩入ると解るのであるが店内は外見に反して意外にも広い。ただし、迷宮のように古今東西の珍しい品物が分類わけもされずに、所狭しと雑然と並べられている様は、もしかしたら見るものを怯えさせるかもしれない。アリアドネの糸は何処。
ゴシック調の舞台を模った木製のオルゴールに赤い靴。壷中人魚。どこで手に入れたのかも想像がつかないような物品。店の奥には、和洋折衷な喫茶室が設けられており、午後のお茶をいつでも楽しめるようになっている。黒檀の調度品に、屏風、硝子のランプシェード。
作品名:異人館 作家名:ツカノアラシ@万恒河沙