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Father Never Say...

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 秋だった。全国大会を終え、打ち上げ後。泊まりに来た同い年の叔父に、見抜かれた。
「……オレはまあ別にそんなもん気にしないが……お前、その朱くなるのどうにかしたほうがいいぞ。わかりやすすぎる」
「な、なっ、なん……」
「見てればわかる。とはいえ、オレだからわかったんだろうけどな」
 煙草の煙をゆっくり吐き出しながら、外崎は呆れたように言った。
 
「本人には気付かれるなよ」
「当たり前だ!」
 思わず怒鳴っていた。言われなくとも隠し通す。
「そりゃよかった。告ろうなんて考えてるんじゃなくて安心したよ」
「伝えてどうするんだ?どうにもならない。苦しめるだけじゃないか。そんなの俺だけが抱えてればいい。エゴを押し付けて楽になろうなんて望まない。今更逃げ場なんかどこにもない」
 泣き喚きたかった。できることなら。ふとした隙に勝手に動こうとする自分の腕が、一番信用ならなかった。
(求めるな。願うな。抱き締めたいなんて)
 自分で自分に吐き気がする。
 
 外崎は灰皿に吸い殻を押し付け、溜息をついた。
「いや、そこまで思いつめなくても」
「わからないよ、お前には」
「……」
「あ、ごめん」
「いい。で?」
 
 この気持ちがもっと純粋なものであれば、こんな風に苦しむこともなかっただろうに。
 
「あいつに知られるくらいなら、死んだ方がマシだ」
 
 自分だけに笑いかければいい。ほかの誰にも触れられたくない。
 
 そう気付いた時から、それは始まったのだ。
作品名:Father Never Say... 作家名:9.