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私のやんごとなき王子様 鬼頭編

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「自分で買ってないから値段が分からないに決まってるだろ。俺が乗ってるからって俺が自分で買ったと思う方がおかしい。相変わらずお前の脳みそは貧相だな」
「貧相で悪かったですね……って、えっ? じゃあこの車、頂き物なんですかっ!?」
「そういうことだ」
「ええっ!? こーんな高そうな外車、どうして貰えたりするんですかっ!?」
「――うるさいな。くれるっていうから貰っただけだ、いちいち驚くな」

 いやいやいや、驚くでしょ、誰だって! 外車をプレゼントされるだなんて一般庶民の私の中では絶対に無い出来事なんだもん。
 おろおろし出した私に、先生が深いため息を吐く。

「はあ……落ち着け。これはうちの理事長から譲り受けたものだ」
「え、理事長?」

 私は我が星越学園のとても理事長には見えない、すごく素敵な男性の顔を思い出した。
 若くてモデルみたいにスタイルがよくって、品のいい顔をしてるのだ。

「ああ、なんでも親戚がこの車のメーカーのディーラーをしていて、日本での宣伝用として理事長に乗ってくれと頼んだものらしい。その期間が終わって車庫で眠る寸前だったのを、ちょうど車が壊れて困ってた俺に回って来たという訳だ」
「はあ、なんだか聞いてもよく理解出来ないスケールの大きなお話ですね」
「俺みたいなしがない高校教師の給料でこんな外車買える訳がないだろう? 少しは考えろ」

 またバカにされた。