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ネガティブガール、川

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 放課後、不意に彼に名前を呼ばれた。浮かれる気持ちを必死にセーブしつつ、なあに、と答える。

「今、いい? 用事とか無ければ。……話したいことがあるんだ。ちょっと来て欲しい」

 ああ。
 遂に来てしまった。いよいよ、「種明かし」の時間だ。
 ずっとこのまま普通のクラスメートとしていられたらいいのに、と思っていたけれど、私の分際でそれは贅沢すぎる願いだった。そんなことは分かっていたつもりだ。それでも、私は絶望に包まれた。これから彼に蔑まれる日常が始まるのだ。
 それにしても、ただ「種明かし」をするためだけに別の場所に呼ぶとは……そこでは仲間が待っていて、私は暴力を振るわれるのだろう。
 私はふわふわした足取りで彼についていった。想像ですらこんなも辛い。面と向かって彼に「キモい」「死ね」「こっちくんな」などと言われたら、私はどうなってしまうのだろうか?

 ……ああ、これだから嫌だったのだ。人を好きになることは。



 気が付くと私は屋上にいた。
 あまりにも辛すぎて自殺でもする気になったのかと一瞬焦ったが、隣には彼がいた。そうだ。屋上には、彼に連れてこられたのだ。それすらも忘れてしまうほど私は落ち込んでいたのかと思うと、もはや笑いたくなる。
 周りには人は見当たらない。彼の仲間は、きっと何処かに隠れているのだろう。
「見つけても気付かなかったふりをしよう」と私は思った。その方が、彼のためだと考えたからだ。出会ってから半年の間ずっと、私を絶望のどん底に落とすために、私に話しかける苦痛に耐えてくれたのだ。騙されたふりをして、彼には開放感をたっぷりと味わってもらいたかった。

 彼はフェンスに腕をのせ頬杖をつきながら、外の景色を眺めていた。
 私はそんな彼を横から眺める。もうここまで来たらいっそ、早く私のことを落として欲しかった。覚悟は出来ている。この覚悟が揺るがない内に、頼むから早く私に「種明かし」して欲しい。
 そんな私の様子に気付いたのか、彼はああごめん、と言いながら私の方に向き直った。今から私を落とすのに謝る必要なんてあるのか、と思う。彼は私に最後の最後まで優しくすることで、私の絶望感を大きくするつもりなのだ。

「ほら、夕日。凄いよ。見てみ」

 彼に言われた通りにフェンスの向こう側を見る。夕日は確かに綺麗だった。きっぱりとした赤から黄色へのグラデーションが、何とも言えず美しい。けれど、そんなことより先に早く私を落として欲しい、と思った。
 赤い光が彼を照らす。

「あのさ、」

 やっと、「種明かし」だ。次の瞬間私の幸せは終わ

「俺、お前が好きだ。付き合ってくれないか」