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私のやんごとなき王子様 真壁編

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 舞台は大成功を納めた。
 風名君と亜里沙様達出演者は、カーテンコールに3回も答えていた。 

「凄かったなあ……」

 すっかり誰もいなくなった劇場の舞台の上で、私は目をつぶって今日一日を思い返していた。
 舞台の上で劇を演じる出演者、音響、照明、演出、大道具、小道具、その他全ての生徒がこの一日の為に全力を注いだのだ。目を閉じるとまだあの拍手の雨が耳のすぐ側で聞こえる。

 でも私の脳裏にはずっと一人の顔がこびりついて離れなかった。

 真壁先生だ。

 担当をギリギリまで決められなかった私を、先生は優しく迎えてくれた。一緒になって考えてくれて、いつも私を励まして元気づけてくれた。
 仕事はとても大変だったけれど、すごく充実していたし達成感もあった。何より皆の役に立てているって実感出来たからすごく楽しかった。


「おい、お前忘れ物取りに来たんじゃなかったのか?」

 突然後ろから声をかけられ、私は姿勢を正して振り返った。

「あっ! す、すみませんっ」

 なかなか戻って来ない私を心配して、先生が探しに来たみたい。そうよね、だって忘れ物取りに行きたいから劇場の鍵貸して下さいって言ったくせに、余韻に浸りたくて舞台に立ってるんだもん。遅くなって当たり前だ。

 先生はこちらへやって来ると、ふうと息を吐いて客席をぐるりと眺めて笑った。