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私のやんごとなき王子様 真壁編

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8日目


 翌日の朝、私は部屋で慌ただしく身支度を整えていた。

 毎日が思っていたより忙しい。
 というのもオディール役の子がダイエットのしすぎと過労で倒れてしまったらしく、急遽代役を立てる事になったのだ。
その調節の為に、実行委員を含めた私達生徒指導の仕事も増え、増々奔走する事となった。

鏡を見ながら髪をピンで留めて――よし!

さ、今日も頑張るぞ! 少しでも真壁先生の役に立ちたいもんね! 昨日の夕食の支度だって先生達は生徒の事に気を配って、本当に大変そうだった。

――だから、少しでもその負担を担いたい。

「お、美羽〜。なんだか決意も新たに! みたいな? 気合いが入ってるね〜」
「え? そう?」

 同じく鏡に向かっていたさなぎに横から言われて、思わず私は聞き返した。そんなに顔に出てたかな?

「うふふ。うん、なんか頑張るぞー! っていう感じ。昨日のバーベキューもすっごい好評だったし、真壁先生とのチームワークもバッチリって感じじゃない?」
「ホント? だとしたら嬉しいな。先生の足を引っ張るのだけは嫌だから」
「美羽なら大丈夫だよ。先生、絶対助かってる」
「有難う、さなぎ」

 さなぎにこんな風に言って貰えると本当に嬉しい。
 各担当部署に行く前の朝のほんの少しの会話。でもさなぎとのこの時間が私に元気を与えてくれる。

「でもオディール役の子が倒れちゃうなんて、ビックリだね」
「うん、本当に。心配だけど……」
「時間は待ってくれないもんねー。ウチも大変だよー。でも美羽ほどじゃないけどねー。生徒指導担当者は全体をまとめなくちゃだもんね。美羽まで体調崩さないようにしてよ?」

 心配そうに私の顔を覗き込むさなぎに向って、私はにっこり微笑んだ。

「うん、気をつけるね。ホント有難う。それじゃ、私そろそろ行くね」
「うん! 行ってらっしゃい! 今日も頑張ろう!」
「おー!」

 さなぎと笑顔で挨拶を交わし、私は自室を出発した。