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私のやんごとなき王子様 真壁編

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 その慣れた手つきに感心していると、

「お前ちょっとうちわで風送ってくれ」

 と言われ、私は急いで段ボールの中からうちわを取り出した。

「了解です」

 うちわまで用意してある所がすごい。私はパタパタと勢いを付けて火を扇いだ。

「お、いいぞ。お前火おこしの才能があるな」
「ぷっ! 何ですか、その火おこしの才能って」
「馬鹿。人間にしか出来ないんだぞ、火をおこすってのは。だからその才能は大事だ。もちろん俺にもある! もしも無人島に取り残されることになっても、俺とお前なら死なずに生き残れるかもな〜」

 無邪気に笑う先生に私はドキリとした。真壁先生と無人島に二人きりなんて、すっごく楽しそう。きっと先生のことだから素手で魚捕まえたり、丸太で家作ったりするんだろうな。

「ふふっ」
「何だよ、笑うなよ」
「だって先生、発想が中学生ですよ? あははっ」

 我慢出来ずに笑ってしまった。
 なんて楽しいんだろう。このまま本当にこの島に真壁先生と二人で残ってしまいたい、なんて思ってしまった。

「うるせーな。よし、次のコンロ行くぞ」

 無事着火したコンロを見下ろし、私達火おこしエキスパートは次々とコンロの着火を成功させて行った。



 夕日を見ながら浜辺で食べるバーベキューはとっても美味しかった。
 コンロを挟んだ向かい側で豪快にお肉に食いつく真壁先生と、その隣りで楽しそうに笑っている水原さんを見るのはちょっと寂しかったけど、なんてったって私と真壁先生は無人島でも生き残れる仲間、「火おこしエキスパート」だもんね。

「頑張ろう……」

 ぼそり呟いて、私も先生のマネをして豪快にお肉にかぶりついた。