私のやんごとなき王子様 真壁編
7日目
今日も朝から宿舎の中を行ったり来たり。忙しいったらない。
だけど昨日海で遊んだのがいい気分転換になったらしく、皆の雰囲気がどことなくはつらつとしている。
私はというと、実は真壁先生と水原さんの事が昨日から気になっちゃって、仕事をしながらも時折部屋で顔を突き合わせて話す二人の様子を伺っていた。
真壁先生が何か指示を出すと、それに元気よく返事をしてすぐに仕事を始める水原さん。
もしかして水原さんは先生の事が好きなのかも―――
どうしよう。
これが一番に浮かんだ私の感情なんだけど、どうしようって思ったってどうしようもない。私に分かる訳がない。
ふと顔をこちらに向けた真壁先生と目が合って、私は急いで手元に視線を落としたのだった。
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昼食を済ませた後、私達生徒指導担当は調理室へと向かっていた。
今日は私達が食事当番なのだ。とはいってもメイン料理を作るのはあくまでも宿舎のシェフの方々。私達は教育の一環として、担当班ごとに日替わりで1品を作るというのが決まりなのだ。
1品とはいっても、全校生徒プラス先生の合計200人分の料理だから作る量がさすがに多い。
私達が作るのは……えと、なんだろう? そう言えば何も聞いてないや。
作品名:私のやんごとなき王子様 真壁編 作家名:有馬音文