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私のやんごとなき王子様 真壁編

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 彼女はとても良く仕事ができるから、真壁先生と一緒に仕事をやっている事が多い。いつも二人で何やら話している姿を見かける。
 その水原さんが真壁先生の腕を取って、波打ち際で楽しそうにボールを打ち合う生徒を指差した。

「せんせぇ、あっちで一緒にビーチバレーやりましょうよ」
「ん? おう、そうだな。小日向、お前も行こうぜ?」

 そう言って誘ってくれた真壁先生の隣りで、相変わらず腕を掴んだままの水原さんが私を睨んだ……ように見えた。
 え? あれ? 気の所為? 何か睨まれたような……。

「あ……いえ、私はもう少し泳ぎますからいいです」

 何故だか水原さんのその目が「来るなよ」と言っているみたいで、私は咄嗟に断っていた。

「――そうか? あんまり気合い入れて泳ぐなよ、疲れて後の仕事ができなくなるからな。じゃあ、泳ぐのに飽きたらこっち来いよ」
「はい。分かりました」
「先生、早く行きましょう」

 私なんてまるで眼中にないみたいにぐいぐいと先生の腕を引っ張る。
 馴れ馴れしく先生に触らないでよ。なんて思ってしまった。
 二人が向こうへ早足で行くのをぼんやり立ったまま眺め、私は無意識のうちに大きなため息を吐いていた。

「はあ……」

 何だか苛々してる……どうして?
 そしてチクリと痛んだ胸に私は思い当たった。

「これって、もしかして……恋?」

 ええっ? 嘘嘘っ!
 急に熱くなった顔に、私は慌てて海に飛び込んだ。