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私のやんごとなき王子様 真壁編

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「本当にお前は良い子だなあ。俺は教師失格だ、生徒に任せてばっかりで……ほい」
「お仕事があるから仕方ないじゃないですか……って、これは?」

 封筒を受け取りながら尋ねると、先生は私に顔を寄せて小声で

「買い出し費だ。本当は生徒に預けちゃまずいんだが、お前なら信用出来るし、俺が持ってるより安心だ。レシートもその封筒に一緒に入れといてくれ」

 そう言った。
 まあ、確かに何万ものお金を生徒一人が持ってるのは危ないもんね。
 でも先生は私の事をそんなに信用してくれてるんだなあ。なんだかちょっと嬉しいかも。

「はい、任せてください」
「俺がお前の買い出しに間に合えばいいが、間に合わなかったらお前の家まで取りに行くから、よろしくな」
「分かりました、では失礼します」

 職員室から出て行く足取りも軽い。今なら誰よりも早く100メートル走れそうってくらい軽かった。


*****

 私が選んだのは真壁先生や鬼頭先生がいる生徒指導。色んな担当の手伝いが出来るって先生が言うから、どこか選ぶ事が出来なかった私には丁度いいと思って決めた。
 まあ、鬼頭先生にいじめられそうになったら真壁先生に助けを求めればいいし、そんなに忙しいなら私をいじめて遊ぶ暇もないだろうし。
 それにしても、最初のお手伝いが買い出しって、何だか雑用って感じで楽しいな。

 先生と一緒に買い物に行けたら楽しいだろうけど、まあ、それは期待しちゃ駄目よね。