双子の王子
「胸の印はわしが見つけた時には焼かれていたからどんなものだったのかわしは知らぬが、おそらくそんなところじゃろう。それで、王子よ、それを知ってどうする? ルナを連れて帰るか?」
「…ルナは」
とソルは俯いて言った。
辛そうに、悔しそうに。
「…会いたいって言うんです。くだらない迷信から自分を捨てるような親に。赤ん坊の胸を焼くような親に。会えないのなら…せめて、元気でいて欲しいって…言うんですよ…? あんなにも酷いことをした奴らなのに……」
「ルナは、親に憧れておる。いや、家族に、と言うべきか。どうする、王子。ルナを連れて帰るか?わしは止めやせんよ」
ソルは左右に首を振った。
「あんなのに、会わせたくありません。かわりに、俺が会いに来ても…いいですか…?」
「構わんよ。いつでも神殿に入ってよい。しかし、スウォードが許すかどうか…」
「いざとなったら城を抜け出してでも来ますから!」
サジャはソルの真っ直ぐな言葉と表情に笑った。
「いいじゃろう。追っ手は中へ入れぬように伝えておく。…ソル王子、ルナはわしにとって孫も同然じゃ。どうか…よろしく頼むぞ……」
「俺の弟です。言われなくても大切にしますよ」
「では…行くといい。ルナが待ちくたびれておる。よければ今夜はここに泊まっていきなさい。食事は質素だが、味はよい」
「ありがとうございます」
ソルが部屋を出ると、ルナが駆け寄ってきた。
「ソル、一体どんなことを聞いたんですか?」
「んー? ルナがどんだけちっちゃくて可愛かったかとか」
「えぇっ!?」
「それより、今日は泊めてもらうことになったんだ」
「うわぁ、本当ですか!」
ルナは嬉しそうに顔を輝かせた。
「そんなに嬉しいか?」
苦笑するソルにルナは、
「だって、初めての友達なんですよ?」
「…友達もいなかったのか…」
愕然とするソルにルナは慌ててフォローをした。
「え、あ、だって、ここ、大きな人しかいないんです。だから、皆、優しくしてくれるけど、それって友達とは言えないでしょう?」
「…ルナ、これからは俺が友達だ。でも、兄みたいに思ってくれてもいいからな?」
「兄? ソルが? …なんだかくすぐったいですね」
ふふっとルナは笑い、
「ねぇソル、今夜は一緒に寝ましょう?」
「ああ、いいよ」
「嬉しい!…っと」
「どうした?」