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織葉(おりは)
織葉(おりは)
novelistID. 1532
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双子の王子

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 驚きを帯びたルギの声と、ルナの困惑の声が入り交じる。
 ソルはどちらにも答えず、神殿の奥へ走った。
 白い扉をくぐり、黒い扉をくぐり、奥へ、奥へと。、
「ここまで…来れば…大丈夫…です…から…」
 ルナが言うので足を止めたソルは、息を切らしながら尋ねた。
「なんで…大丈夫…なんだ…?」
「さっき…通った…金色の…扉は……大人は…くぐれないの…です……」
「じゃあここには…子供しかいない…のか…?」
「いえ…その、」
 とルナは顔を赤らめながら、しどろもどろに、
「……大人に…なるための…儀式を受けた者は…入れないそうです…。僧正様は…ここより更に奥に……」
「こっちか」
 二人は手をつないだまま歩き、その大きな白い扉を開いた。
 薄暗い室内を照らすのは、天窓から注ぐ僅かな光。
 奥の方には祭壇があり、その手前も数段高くなっていた。
 そこに小柄な老人が一人、扉に背を向けて座っていた。
「僧正様、お客様です」
「あぁ…ソル王子じゃな……」
 老人は振り向きもせずに言った。
 ソルは膝をつき、
「グランテ王国第一王子、ソル・スウォード・グランテです。貴方が…」
「この神殿の長で、サジャと申す者…。王子はルナのことで聞きたいことがあるのであろう」
「そうです」
 と答えてからソルはルナへ、
「悪いが少し席を外してくれないか?」
「えっ……はい」
「すまない」
 ソルはルナが出ていき、扉が完全に閉まってから、サジャに問いかけた。
「…ルナは、私の兄か弟なのでしょう?」
「そう。スウォード王が神殿の前に捨てさせた、お前の弟じゃ…」
「やっぱり…」
「どうやって気付いたのかな?」
「ルナの話を聞き、胸の火傷を見て、気付きました。胸を焼いた理由はこの国の王子特有の印を隠すためだと。ルナが拾われたのも、私の誕生日の翌日でしたから、きっと私の兄弟なのだと。そして何より…」
 そう、ソルはうっとりと目を細めた。
「出会った時に感じた、あの懐かしさと愛しさが、教えてくれました」
 サジャはほっほと笑い、
「双子とは不思議なものじゃて…。それで王子よ。どうしてルナが捨てられたか、分かるかの?」
「…双子は忌むべきものとされるから、ですか? もしかしたら、胸の印が悪とみなされるものだったからかもしれませんね」
作品名:双子の王子 作家名:織葉(おりは)