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織葉(おりは)
織葉(おりは)
novelistID. 1532
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双子の王子

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 これでダメだったら恥ずかしいかも、と思いつつ、ためしにルナが口にすると、錫杖が軽くなった。
 いや、浮き上がった。
「やった!」
 ルナはそれに跨り、
「南へ、城の方へ!」
 と命じた。
 が、意外とバランスが取りづらい。
 あまり速度も出せないまま、ルナはとにかく南を目指した。
 ソルが目を覚ましたのは日が暮れてからだった。
 眠り薬をかがされ、ずっと眠っていたのだ。
 そこは塔の天辺であり、ずっと使われていないはずだというのに埃の匂いさえしなかった。
 それどころか、何か薬草の匂いさえする。
「ここは……塔の上……なのか…?」
「その通り」
 闇の中から老婆の声がした。
「誰だ!?」
 驚き、腰の剣へ手をやろうとした手は空しく宙を掴んだ。
 剣は当然の如く、取り上げられていたのだ。
 老婆は笑いを含んだ声で言った。
「そう慌てなくったっていいよ。私は魔女アイピア。七二九年前、グランテの子孫へ贈り物をした者さ」
 そう言いながら姿を現したのは、小さな、それこそどこにでもいそうな老婆だった。
「七二九年前…魔女……。!じゃあ、あんたが胸に印が現れるようにした魔女か!」
「そう。人は呪いと言うけどね、あれは贈り物なのさ」
「…ああ、それは分かる」
「ほぅ、あんたはなかなか賢いね、黒き剣の王子」
「だが、その印のためにルナは…弟は…赤ん坊なのに胸を焼かれたんだ! あんなのがなければ、焼かれずにすんだのに…」
「その弟だけどね、」
「なんだ?」
「ここへ向かってきているよ」
「なっ…んだって!?」
「サジャが力を目覚めさせてくれたようだ。じゃあ、こっちもさっさと済ませちまおう」
「どういうことだ?」
「つべこべ言わない。その印は贈り物って言っただろ? ひとつはあんたが理解しているように王子の養育に役立てるため。もうひとつはその印を具現化させて使うことさ。あんたの弟の印は『白き杖』。ありとあらゆる望みを叶える杖さ。その印を持つ者は聡明で魔術に長ける。望みの多い者には破滅の元だが、あの子にならちょうどいいだろう」
「待ってくれ。あんたはずっとここにいるんだろう?何でそんなこと…」
「こんなちっぽけなレンガの壁が、私の障害になるとでも?」
 ふっとアイピアは笑った。
「ここは人が来なくて居心地がいいから利用させてもらってるだけさ」
作品名:双子の王子 作家名:織葉(おりは)