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虹という物語

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―序章― すべての始まり


1540年前、私たちが住まうこの世界、セプトクルールはサウザント博士が不慮の事故で作られた感染物質により苦しまされていた。


そこで、抗薬剤がクラスタード博士によって開発され、その危機は逃れた。


そのように見えたが、実はその感染物質にはこんな副作用があった。

それは、【狂暴化】だった。それにより、セプトクルールの動物の大半が人間に対して害のあるものとなった。さいわい、感染した動物、魔物の肉を食べたり、かまれたりしてもそれによって感染することはない。しかし、治すことはできない。町もいくつか襲われ、もう世界は終わりだとだれもが思った。


その時、学者・クラスタード博士はあることを発見し、それを発表した。能力燃料論(スキルエネルギー)である。


それは、あらゆるものを自分の【能力】(スキル)に活用すること。能力とは、自分に与えられる新たな力のこと。
その力を使うために能力燃料が必要となる。能力燃料は、どんなものでもなる。水、火、風、土、時間・・・。絵本であるような魔術を使う者は【能術師】と呼ばれ、専攻しているものの影響を強く受ける。これを、【影響能力】(インフルノスキル)という。また、特定のものを使うことで【特殊能力】(スペシャルスキル)を使うことができる。しかし、使うことは普通の能力より困難で、ある程度実力がないと使うことはできない。例えば、音を使えば【音響師】(タクター)、人形を使えば【人形師】(パペッター)、歌を使えば【歌姫】(アイドル)、色を使えば【彩色師】(カラーペインター)、などなどがある。また、男性しかできない能力や、女性しかできない能力がある。
ものによっては色々な効果があり、水と風なら癒やしの効果がある。

そして、人間たちはこの力を用いて世界を守った。しかし、それも一時的なもので、人間たちは世界を守るために新たな力を欲した。

そこで、クラスタード博士は、水、地、火などの元素を使って都市を守る計画をたてた。

その計画とは、元素を濃縮してできたかけらを都市と町におき、その力をリンクさせることによって守るというもの。実験として、水かけらを作ろうとした。そのとき、博士は新しい発見をした。それは、元素を一定の量濃縮すると、新たな生物が生まれたのだった。しかも、その生物は濃縮した元素の力を強く持っている。そこで、博士はこのようなものを【元素集合体】(精霊)と呼び、最初に生まれた水は、第一元素集合体(ウンディーネ)と名付けられた。元素集合体は全部で8体である。その8体をバラバラに大陸に置くため、もともとつながっていた大陸を8つに割り、それぞれの都市に元素集合体を置き、それぞれの町の結晶とリンクさせることによって、魔物は人間の住む場所に近付けなくなり、人間たちは魔物による脅威を取り払うことに成功した。

それから、魔物たちもどんどん活発化していき、今では、町の外に出ることは少なくなった。


あの時から1540年、能力はめざましい発展をし、今では都市に近づく魔物はいなくなった。



はぁ、と少女は今まで見ていたP.PCを消し、イスの背もたれにもたれかかった。

「もう、先生の言うことはいつも難しいです・・・。どうして私がわざわざ調べなきゃ・・・。・・・なんでしょう。」

ふと、扉の向こうからする声に耳を傾けると、あまりにも突然すぎるその会話の内容に、驚き目を見開いた。

『聞いたか?噂だけどよ、シンナテリカ様は何者かに狙われているらしい。ここに閉じ込めているのは、結婚の話を引き受けない罰ではなくて、暗殺者から身を守るためみたいだ。』

『それ、本当なんですか!?じゃあ、俺たちが助けられたら昇進したり!!』

うるせぇ!と後から後輩らしき人の頭をなぐる音が聞こえた。私は、聞いてしまった、この耳ではっきりと。


―私はこのままここにいては殺される。―


私は、部屋の窓を開けると思いっきり叫んだ。

「・・・助けて、助けてゼン!!」

私の声は空に消えていった。
作品名:虹という物語 作家名:リゲル