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ミムロ コトナリ
ミムロ コトナリ
novelistID. 12426
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くれなずむ <その2.対決!野球部>

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 「あれ、まだ会長ひとりですか?」
クレナの質問にミノルがよこした回答は沈黙だった。
彼女の視点から見て、ミノルは背を向けている状態。気がついていないのだろう。
しめたと思い、クレナの頭に一つの悪企みが浮かんだ。
クレナはミノルの背後にそっと足を忍ばせて、ほぼ無音で近づいていった。
それはもう、潜入(スニーキング)のプロも真っ青の足捌きだった。
 ミノルの背後に忍び寄ったクレナは、彼女が耳にヘッドセットをして
音楽を聴いていることに気がついた。

 なるほど、だからこちらの声が聞こえていなかったのか。
プレーヤーの音量を最大にしているようで、ヘッドセットからもれている
ドラムやエレキベースの音と、ぶつ切りになって聞こえてくる
下品で退廃的な歌詞が、それを存分に証明していた。

 この至近距離でもこちらに気づいてはいない様子。
それはそうだ、完全に気配を消して近づいたのだ。
 自分の足捌きのテクならば、米海兵隊(シールズ)だろうと、背後から無音で近づき
声を出させる暇もなく仕留ることが出来る自信がある。

 距離は、もう目と鼻の先。
ミノルの毛髪から漂ってくるシャンプーの甘い匂いがクレナの鼻腔を
くすぐるほどの至近距離。
 クレナはクククと喉で笑うと、背後からミノルの両脇に手をまわし、
その先にある”モノ”をぎゅむりとわしづかみにした。