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ミムロ コトナリ
ミムロ コトナリ
novelistID. 12426
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くれなずむ <その2.対決!野球部>

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 ピッチャー、振りかぶり一投目。
球種はストレート。コースはやや内角より。
ストライクゾーンには入っていない。
 瞬時に目測でコースを見破ったフィラは見送りを選択した。
「ボール!」
一見、学者肌で体育会系にはとても見えないフィラだったが、
こうみえて小学生時代の頃分、クレナと椎駄と共に
地元の少年野球チームで活躍していたスラッガーだった。

 「さすがの選球眼。チームで三番張ってただけはあるなぁ」
フィラの目の良さと性格的には、一番か三番が定位置であった。
が、今回に限って何故二番なのかが疑問である。
椎駄の頭から、そのことだけが気に掛かって頭から離れなかった。

 ニ投目。今度は、カーブ。
コースは、ストライクゾーンを捉えている。
 相手は、フィラの目の良さに気がついたのだろう。
このカーブは技量を測るために放った見せ球で、
あえて打たせるために投げられた物だった。
だが、相手バッテリーのこの判断は裏目に出た。

 心地の良い、乾いた打撃音がグラウンドに響いた。
バットにミートされたボールが、人一人分高く浮かび
弧を描き、ダイヤモンドの外へと落ちバウンドする。
跳ねたボールは外野方面へと転がっていった。
ボールを捕まえようと、外野手が走りより――

 ボバーン!!

妙に派手な爆発音のあと、爆発で舞い上がった土砂共に、
外野手が吹っ飛んだ。

 『はぁーーーーーーッ!?』
真田を始めとする野球部員一同はおろか、生徒会チームや野次馬の生徒たちも
声を大にして、揃いに揃って驚きの声を上げた。
 爆発の衝撃で、地面に叩きつけられた外野手のニ年生は、
目を白くして口角泡を吹いて気を失っていた。

 「やったぁ☆」
その一部始終を一塁ベースから見ていたフィラは思わず、
片足と片腕を高く上げた可愛らしいガッツポーズを取ってピョンと軽く飛び跳ねた。
 正直、普段のキャラクター性から言って空恐ろしいものを見てしまった気がするのは
気のせいだろうか。
 『自分が犯人です』と自白しているにも等しいフィラの素振りだったが、
唯一救いだったのは、皆の目が爆発の起こったほうに向いていたことだった。
その中にあって、フィラのガッツポーズ姿をきっちりと目撃していたのは、
ミノルとクレナの二人だけであった。
(やっぱり、お前(アンタ)の仕業か…!)
二人がそう思ったのは言うまでもない。