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ミムロ コトナリ
ミムロ コトナリ
novelistID. 12426
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くれなずむ <その2.対決!野球部>

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 「タイム!」
真田が、審判にタイムを宣言した。
そして、声高らかにピッチャーに聞いた。
 「色はッ?」
「白でした!!」
ずっこける野次馬一同とミノル。
 「うるせぇよバカヤロウども!ほんと馬鹿だろお前ら!」
速攻で、羞恥で顔を赤く染めたミノルがツッコんだ。

 その後、スカートがめくれ上がるのを嫌ったミノルは、
バットを振ることが全く出来ず、あっけなくスリーカウントを取られバッターボックスを後にした。
 「まったく、あれぐらいでヒヨっちゃって。パンツぐらいいくらでも
見せてやればいいじゃないの減るもんじゃないし」
意気消沈してとぼとぼとベンチへと帰ってきた傷心のミノルに、フィラが呆れた様子で言った。
 「…だったら、お前がやればいいだろうが」
あんまりなフィラのいいように、半泣きジト目で講義するミノル。
「いやよー、あんな破廉恥な格好。する人の気がしれないわ」
「ぐぐ…やらせておいて、お前なぁ」
「冗談よ、冗談。まぁ、よくやってくれたわ。お蔭でいい感じに場も温まったしね」
「まぁ、男子諸君は別のところが温まってた感じですけどねぇー」
「お、クレナ。なかなか的を得ているわねー」
『アッハッハ』
(だれが上手いこと言えと…)
しょうもないやりとりをして高笑いする二人を、呆れ顔で見るミノルだった。

 「さて、次は私の番ねー」
そう言って、フィラはベンチから腰を上げ、メットを被りバットを掴んだ。
その足で、バッタボックスへと向かう。
 オーダーを見ると、二番バッターにはフィラの名前が記されていた。
それに対し今更ながら違和感を覚えた椎駄が、傍らに走りよってフィラに尋ねた。
 「フィラ姉さんの役割的には一番が適切だと思ったんだけど。なんで二番なの?」
「そうねー」
 頭脳明晰で分析力に長けるフィラを一番に据えて、ピッチャーのクセを読み、のちの攻略に
活かすのが定石と言えばそうだが、フィラには別の思惑があった。
 「ミノルを一番に持ってきたのは客寄せパンダというか、掴みというか。まぁ、アレね」
「?」
「最高のショーを特等席で観たかったというのが一番の理由ね。
ほら、さっきのはなかなか傑作だったでしょう?」
といって、邪な薄ら笑いを浮かべる暗黒女帝。
「ひでぇ…ひでぇよ、フィラ姉さん…」
姉の節操のない鬼畜っぷりに戦慄する椎駄であった。

 てくてくとバッターボックスに向かうフィラの背中を見ていたミノルは、
何気なく視線をふと外しグラウンドの外野に目を向けてみた。
 「なぁ、ところで外野に所々立ててある、あの立て札は一体なんなんだ」
「はぁ、なんでしょうね」
尋ねられて、小首を傾げるクレナ。
 よく目を凝らしてみると、立て札には『只注意』と書かれていた。
「??ただ…ちゅうい?」
「ワケがわからんなぁ…」
ますます混乱する二人であった。

 バッターボックスに入ったフィラは、キャッチャーに尋ねた。
「ねぇ、聞くけど。今日、野球部は外野のほうに立ち入ったりはしてないわよね」
「そうっすねぇ。俺たちもアップ中は内野しか使わなかったし、
外野に行った奴はいないと思うンすけど」
「そう。それはなによりだわ」
「?」
要領を得ないやりとりに、キャッチャーは怪訝な顔を浮かべた。
その視線を気に止めることも無く、フィラはピッチャーのほうへと顔を向けた。