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ミムロ コトナリ
ミムロ コトナリ
novelistID. 12426
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くれなずむ <その2.対決!野球部>

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 「おい!フィラ、ありゃ一体どういうことだ!?」
真田京介が、フィラに詰め寄り問いただしてきた。
「クレイモアじゃない?」
「クレ…?えーーーーーッ!?
クレイモアって…あの戦争TVゲームやFPSで出てくる、指向性地雷のアレかッ!」
「そう、アレ」
すまし顔で、しれっと言うフィラ。
 クレイモアとは、任意の方向に炸薬の破壊力を向けることが可能な地雷の一種であった。
FPS(一人称視点型シューティングアクション)系のテレビゲームで
プレイヤーがトラップとして仕掛けることが可能な武器の定番でもある。

 「なんだって、そんなものが学校に…つぅか、グラウンドに埋まってるんだ!?」
「さぁ?まぁ、学校のグラウンドにクレイモアがちょろっと埋まってるなんて、
埼玉県ではよくあることよ。フツーよフツー、さして疑問じゃないわ」
「ねぇよ!中東じゃともかく、日本にそんなフツーはありませんッ!!」
(※埼玉県の名誉に誓っていいますが、絶対にないです。あしからず…たぶん)

 「最近じゃ、テロだなんだと危険でしょ。どっかのテロ組織が、うちの学校の理事長や、
支持母体やらを脅迫するために、学校のグラウンドに地雷の一つや二つ埋めたとも限らないし」
ちなみに、羽燕高校は外資系財閥を支持母体に持つ私立高等学校なのであった。
 「いや、無さそうでアリそうだが、さすがにそれは考えすぎじゃないか…?」
「万が一ってこともあるじゃない。
こんなこともあろうかと危険を察して、私がちゃんと注意書きの立て札も置いたってのに。
これじゃぁ、元の木阿弥よねぇー」

 「立て札…?」
真田は、フィラが指さした方の立て札に目を向けた。
「”只注意”?意味がわからん。あれが、一体なんなんだ?」
「バカねぇアンタ。あれは、”只”じゃなくて、クレイモアを表した絵文字よ」
「わからねぇよッ!」

 「ふぅ、全く最近の高校生は、あんなアスキーアートも判らないなんて、
想像力が欠如してるわねー。
まったく、日本の教育練度もここまで落ちぶれたとは、頭がイタイわ。
ほんと、日本の将来が心配だわー」
「余計なお世話だアホーーー!!それに、そんなことで日本の教育錬度の
低下と将来の不安に繋がるかっつーのッ!
つーか、危険を察知してたんなら除去ぐらいしとけーーー!」
「えー?か弱い素人の女の子にそんな事出来るわけ無いでしょー(棒)」
(ぐぐ…明らかにこいつが犯人だよなぁ…)
そう思いつつも、確たる証拠がないので言い出せない真田であった。

 二人のやりとりを見ていた椎駄は口をパクパクさせて、戦慄していた。
(フィラ姉さん…。朝早くから家にいないと思ったら、
学校のグラウンドにクレイモアを敷設してたのか…(汗))
 皆の見えないところで、地味な努力をしている女。
ネタを仕込むにも全力を尽くす。
それが、冶月フィラという女なのであった。
 ちなみに、使われたクレイモアは爆発こそ派手だったものの、
衝撃波で標的を気絶させるだけに威力を留めた非致死性のものだった。
 テレビ番組であったなら、画面下のテロップに
『撮影用の特殊な火薬を使っております。人体に影響はありませんのでご安心ください』
と言ったような注釈が添えられていたことだろう。