私のやんごとなき王子様 三島編
「だ、大丈夫か!?」
三島君が慌てて駆けつけて、私のおでこに手を当ててくれた。
至近距離で見た三島君のその眼鏡の奥の瞳が、どこまでも優しい。
「えへへ」
「ど……どうした? 痛むか? 鬼頭先生のところに」
「違うよ」
焦る三島君に向って私は大きく手を伸ばした。
「嬉しいの。幸せなの。こんな風に三島君に心配して貰える事が」
そう言って私は三島君の腕に自分の腕を絡めた。
おでこの痛みなんて忘れてしまいそうなほど、私は今幸せだ。
「小日向……君……」
絡んだ腕に戸惑いながらも、三島君はそっと微笑んでくれた。
三島君、大好き。
あなたが実行委員に誘ってくれて本当に良かった。
あなたのおかげで高校生活最後の演劇祭は最高のものになった。
あなたと過ごせてあなたの素敵なところをたくさん知れて、今こんなにも幸せなの。
三島君、ありがとう。
作品名:私のやんごとなき王子様 三島編 作家名:有馬音文