私のやんごとなき王子様 三島編
「小日向君、君に話があるんだ」
「話?」
オウム返しにそう聞き返すと、三島君は小さく頷いた。
「ああ……その……」
口ごもる三島君を私はじっと見つめた。
その私の視線を受けて、三島君の顔が赤く染まった気がする――でもこれは夕陽のせい?
三島君は「はーーっ」と一つ大きく息を吐くと、意を決したように私に向って姿勢を正した。
「小日向君、俺は君の事が好きだ。俺とその……交際してほしい!」
そう言うと三島君はブンッと音がしそうな勢いで、私に向って頭を下げた。
え?
これって……。
「……駄目だろうか?」
戸惑う私の耳に不安げな三島君の声が届いた。ううん、駄目じゃ無い! 駄目なはずがない!
「わ……私も! 私も三島君と交際したいです!」
そう言って私も思いっきり頭を下げた。
ガツン!
鈍い音がした。
次の瞬間、おでこに痛みが走った。
何が起こったのか一瞬分からなかったけど、どうやら勢いよく頭を下げ過ぎて机にぶつかったらしい。
作品名:私のやんごとなき王子様 三島編 作家名:有馬音文