私のやんごとなき王子様 三島編
「佐和山と付き合える事になりました」
米倉君もにこにこと笑いながらに私に報告。なんか、いいな――
「さなぎの事、よろしくお願いします」
私は一つ大きく頭を下げた。
「や、やだも〜、美羽ったらお母さんみたいじゃんか〜〜」
頭をあげて、二人と目を合わせると誰ともなく笑いだした。
「あははっ、おっかしい〜」
笑うさなぎを私は肘で突きながら、軽く睨むフリ。
「ずっと黙ってるなんて薄情者〜〜」
「違うんだって〜! ホント、付き合う事になったの昨日だったからさ〜」
「急な話ですみません! ホント」
焦るさなぎを見て、米倉君がフォローに入る。
優しいんだな――愛されてるんだね、さなぎ。そんな二人を見ていると、自然と心が温かくなる。
「米倉が謝る事無いよ」
「そう、米倉君は悪くないよ」
なんて私もフォローをし返すと、3人一緒にまた笑いあった。
うん、米倉君とさなぎなら、きっと幸せなカップルになると思う!
「それじゃ、私そろそろ行くね」
あんまり二人の邪魔をするのも悪いと思って、私は実行委員本部へと移動する事にした。
「あ、待って!」
去ろうとした私の元へ、さなぎが駆け寄る。
「美羽、今夜の花火大会はホントに大チャンスだよ? 後悔しないように、頑張ってね!」
「うん、アリガト」
さなぎは私に好きな人がいる事を、うっすら感ずいているんだと思う。
さなぎの励ましを無駄にしないように、私も頑張りたいな……頑張れるかな?
作品名:私のやんごとなき王子様 三島編 作家名:有馬音文