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私のやんごとなき王子様 三島編

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9日目


 昨日、水原さんの告白を聞いてしまって以来、私の頭の中からは二人の事が離れなくなってしまっていた。

 三島君は何て答えたんだろう? 水原さんは生徒会の役員もやっていて、私なんかより遥かに三島君と過ごす時間も多い。たくさんの三島君を見てきて、たくさんの思いを抱えて――って、今は仕事の真っ最中! いけない、いけない! もっとちゃんとしなくっちゃ!


 二人の姿を何となく見ていられ無くて、今日は積極的に他の担当部署との連絡係に努めた。1日中動きっぱなしだったので、適度な疲労感が体に残っている。ああ、これなら何とか今日は眠れそうだな。実は昨晩は余りよく眠れなかった。気にしないでおこうと思っても、どうしても気になってしまうんだもの。



 仕事を終えて最後の報告に実行委員本部に戻ると、そこには三島君だけが残っていた。私の報告を待っていてくれたみたい。
 三島君の顔を見ると、ドキンと胸の奥で音がした。
 それを悟られまいと必死に笑顔を作って、三島君に報告を伝える。

「そうか、1日ご苦労さま」
「有難う。三島君ももう終わり?」
「ああ」
「お疲れ様でした」

 そんな会話が妙に切ない。早く自分の部屋に帰ればいいのだけど、足が上手く動いてくれない。私は一体何を期待しているんだろう。バカみたい。

「小日向君、少し時間はあるか?」
「え? うん、あるけど」
「じゃあ、一緒に海にでも行かないか? ほら、また時間が取れたら一緒に行こうと言っていたし……」

 一緒に料理を作りながら言っていた事を、覚えていてくれたんだ! その言葉が社交辞令的なものでなかった事に、心が弾む。

「うん! じゃあ早速行こうよ!」
「あ……ああ!」

 私の返事に、三島君も戸惑いがちに笑顔を見せてくれた。

 私はやっぱり三島君が好きだ――と今この瞬間も強く思った。