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私のやんごとなき王子様 三島編

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 水原さんの告白に促されるような形で自分の気持ちに気付くなんて、なんて私は馬鹿なんだろう。

 ううん、本当はもっと早くから気付いていた。

 でも変化が怖くて……怖くて目を背けてた。気付いてしまったら、せっかく仲良くなれた三島君との距離が、また離れてしまうかもしれない。

 でも水原さんは……? 水原さんはそれを恐れずに――

「今すぐに返事はいりません。少し、私の事を考えて下さると嬉しいです。私が会長の隣に存在するに相応しい人間かどうか」
「水原君、俺は……」

 三島君が何か言おうとしたそこまで聞いて、私はゆっくりとドアから離れた。
 一歩二歩後ろに下がり、音を立てないように階段へと向かう。
 それ以上二人が話している所を見るのが辛かった。立ち聞きをしてしまった事に対する罪悪感と、水原さんの三島君に対する真剣な想いが容赦なく襲って来て、胸が苦しかった。
?
 私は一体何をしているんだろう?

 階段を昇ると、丁度窓から月が見えていた。?水原さんは本当に三島君の事が好きなんだ。

 私は?

 私だって好きだ。でもそれは変化を恐れてしまうようなか細い心の元に立っているような弱い気持ちなのかもしれない。
 水原さんは恐れずに――ううん、本当は怖いに決まってる。でもそれでも三島君に自分の気持ちを伝えた。

 私は自分の気持ちを伝えるどころか、そんな水原さんの告白を聞いて、やっと自覚したばかりだ――自分が、三島君を好きだという事を……。

「はあ……」?

 無意識に溜息がこぼれた。
 三島君はなんて答えたんだろう? そんな事が気になって仕方が無い。
 窓から見える月を睨むと、私は思い切り階段を踏みしめ、一気に駆け上った。

 もうっ! 私のバカ!