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私のやんごとなき王子様 三島編

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 昼食の後、少し食休みを取ってから私達実行委員は全員で海に来ていた。

 さすがプライベートビーチ。私達以外には誰もいない! なんて気持ちがいいんだろう!

「う〜〜〜〜ん、気持ちいい!」

 太陽の光を全身に浴びて、私は大きく伸びをした。
 水着は新調出来なかったから去年と同じものだけど、気に入ってるから良しとしよう。
 辺りを見回すと、皆それぞれビーチバレーを楽しんだり、海に入って泳いだり思い思いに楽しみ始めている。

 三島君は――と見ると、一応水着姿にはなったものの、パーカーを羽織り日陰で待機している。ていうか白いなー、そしてすっごく細くて足が綺麗! なんてどうでもいい事に感心してしまった。

「三島君、海入らないの?」

 そっと近づき声をかけると、三島君は私とは視線を合わせずに海の方を見つめたまま答えてくれた。

「ああ。俺は泳ぐのは苦手だし――小日向君、楽しんできたまえ」
「うーん……」

 泳がなくても、海に足を入れてるだけでも楽しいと思うんだけどなー。

「えいっ!」
「うわっ!」

 私は一つ大きく声を出すと、いきなり三島君の右手を握って海に向かって駆け出した。

「こっ、小日向君っ!」

 後ろから三島君の焦ったような声が聞こえる、振り向いて私は思いっきり微笑んだ。

「海の中に少し入るだけでも楽しいよ!」

 言いながらも駆け出した足を止めはしない。


 バシャバシャバシャと大きく水しぶきをあげて、私と三島君は海へと足を踏み入れた。

「ね? 気持ちいいよね?」

 私が微笑むと、三島君はなぜか少しだけ顔を赤くしながら「ああ」と言って、ぎこちなくはにかんだ。

 うん! やっぱりこれでこそ気分転換! っていう感じだよね!

「会長」

 ふいにビーチの方から掛けられた声に視線を移すと、そこには2年の水原さんがいた。
 彼女は生徒会の書記もやっているので、三島君の事は普段から会長と呼んでいるのだ。

「水原君、どうかしたか?」

 三島君はさっきまでの表情はどこへやら、瞬時にきりっとした顔になって彼女を見つめた。