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私のやんごとなき王子様 利根編

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 彼女は専門学校に、俺は家業を継ぐ為に修行に専念することとなってお互いに会える時間は減ったけど、今日は久しぶりに二人で出かけられるので朝から彼女を自宅に招いていた。

「終わった?」
「うん、終わったけど……」
「それじゃあ入るよ」
「あっ! やっぱりちょっと待って!」

 俺は目の前の障子を開け、中で慌てる美羽の姿を見て言葉を失った。

「……あ、恥ずかしいな。へ、変じゃない?」

 その声に我に返って俺は笑う。

「どこが変なの? すごくよく似合ってる」
「本当?」

 恥ずかしそうに上目遣いで尋ねる美羽に、俺は歩み寄った。
 今日は久しぶりに会えるから、お互いに着物を着て出かけようと思って姉に美羽の着付けを頼んだんだけど、美羽の着物姿は想像以上に綺麗で驚いた。

「本当だよ。ねえ、姉さん?」
「ええ、本当に美羽ちゃんは可愛いから、着付けるのが楽しいわ。あら、もうこんな時間。お稽古に行かなきゃ! それじゃあ二人とも、気を付けて出かけるのよ」

 そう言う姉は満足そうに頷いて部屋を出て行った。

「姉さんからのお墨付きも頂いたし、さあ、行こうか」
「うん!」 

 俺より姉から似合っていると言われて満足したのか、少しほっとしたように微笑む美羽の手を引いて、俺達は自宅を後にした。