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私のやんごとなき王子様 利根編

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 海ってすごいなあ。満ち引きはあるけど、満ちた所より上にはいかないんだもん。台風の時は別だけど……雨が降って森で川になって、海に戻って。地球の水の量は常に一定なんだよなあ。増える事も減る事もない。完璧なリサイクル。―――なんて、ああ〜もう! 何地球に感心してるのよ! 私の馬鹿っ!

 ブンブンと頭を激しく振って、焼けた砂を握って足元に少しずつ落とす。
 そして次に利根君を見上げる水原さんの姿を思い返した。

 水原さんは美人で、麦わら帽子と白い水着が似合っちゃうような子で、利根君のお家みたいに実家が日本の伝統的な芸事をやってて、利根君の隣りにいても自然でお似合いで……

「はあ……」

 どうして毎日気分が激しく浮き沈みするのかなあ。私のは地球と違って駄目駄目リサイクルだ。
 利根君は落ち着いていて優しい。モテるのは当たり前だ。それなのに利根君が女の子と仲良くしているのを見ると嫉妬している自分がいる。

 そこで私は気がついた。
 もしかしたら利根君の事を好きになりかけてるんじゃないかって。
 望みのない恋をしてしまったんじゃないかって―――
 照りつける日差しに焼ける肌の感触が心を更に追い込み、いたたまれなくなった私はゆっくりと立ち上がってお尻の砂を払った。
 
 ――仕事に戻ろう。
 心の中で呟いて、私は部屋へ帰る事にした。