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私のやんごとなき王子様 利根編

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「利根君は劇には出ないの? あなたなら風名君と並んでも引けを取らないし、増々盛り上がりそうだけど」
「いえ、僕はそういった事は苦手なので」
「衣装や小道具を作るっていうのは、華道に通じるものがあるんですか?」
「集中して作品を作り上げるという点では、どの仕事も大切ですし、華道だけじゃなくてすべての事に通じてると思います」

 次々と取材に答える利根君を、私は感心しながら隣りで見ていた。

「えっと、隣りの子はもしかして恋人?」

 ええっ!?
 唐突な質問に、私の体は一気に硬くなった。
 だってだって、私が利根君の恋人だなんてっ!!

「華道界のプリンスの恋人! これはスクープだ!」

 あっという間にレンズを向けられ、目がくらむ程のフラッシュを浴びる。私は言葉が出ないどころか心臓が止まりそうになってしまった。
 やだ、コワイっ!! どうしよう!?
 すると、ふと私の体の前に何かが立ちはだかる気配を感じた。
 そっと目を開けると利根君の背中があって、私を庇うように大人達との間に入ってくれていた。

「あ……」
「彼女は同じ担当の大切な友人です。僕だけなら構いませんが、彼女にまで迷惑をかける訳にはいきませんので、取材はこのくらいにしていただけますか? さ、小日向さん。行こう?」
「あ、うん」

 利根君の一言でフラッシュは止み、部屋の入り口まで綺麗に人の波が分かれてすんなり進む事が出来た。

「それでは、失礼します」

 ただ一言そう言うと、利根君は取材陣に頭を下げてドアをピシャリと閉めた。

「――はあ……」

 ほっと胸を撫で下ろしていると、利根君が悲しそうな顔で私を振り向いた。

「大丈夫、小日向さん」
「あ、大丈夫……」

 とは言ったものの、正直どっと疲れて何だか頭も痛くなっていた。
 利根君にはいつも助けてもらってばっかりだな。
 ちょっと落ち込む。

「彼らも仕事で、面白い記事を書かないといけないから。失礼な事言われても気にしちゃ駄目だよ」