小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

私のやんごとなき王子様 利根編

INDEX|17ページ/60ページ|

次のページ前のページ
 

 朝食が終わってそれぞれの担当の仕事のためにさなぎと別れたけど、裁縫をしていたら時間なんてあっという間に過ぎてしまった。

 まだまだドレスの仮縫いの段階で、しかもたった一着だけという進行具合に、私は軽くへこんでいた。
 そんなちょっぴりブルーな私を時間は待ってはくれない。

 昼食を食べ約束通り利根君とさなぎの3人でおやつを食べて再び作業部屋に戻ると、入り口からはみ出す程の集団が目に飛び込んで来た。

「あ、あれってもしかして……」
「うん、取材みたいだね」

 独り言のつもりだったんだけど、隣りにいた利根君が返事をくれた。
 星越学園の演劇祭は毎年注目されてるからこうして合宿中に取材がくるんだけど、今年はその人数は例年以上で驚いた。

「やっぱり風名君と亜里沙様がダブル主役だからかな?」
「だろうね。玲も桜さんも今一番の人気若手俳優だからね」

 ふあ〜。本当になんだかすごい人達がいる学園だよね。今更だけど。
 なんて感心してる場合じゃないよ、どうやって部屋に入ったらいいのよ。
 頑張って一番後ろから背伸びをしてみるけど、どうやら中も取材の人でいっぱいのようだった。

「ちょっとすみません、通して頂けますか?」

 利根君の一言で、部屋から漏れていた人々が振り返った。
 うわっ! 一斉にこっち向いた!

「あれ、もしかして君は利根鳳柳(ほうりゅう)先生の息子の利根華月君?」

 手前の男性記者がそう言った。

「えっ? あの有名な華道の家元の!?」

 あっという間に私と利根君は大人達に囲まれてしまった。
 ああそうか、利根君のご両親も有名人なんだった。おまけに利根君のこの美貌のおかげで、華道界のプリンスなんて言われて、風名君達みたいに派手ではないけど結構雑誌でも取り上げられてるんだよね。お母さん達主婦が読むような雑誌に花を生けてる写真なんかが載ってるのを見た事があるけど、利根君の記事が掲載された号は売り上げがいいって聞いたっけ。