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私のやんごとなき王子様 土屋編

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 学園に戻ると土屋君は私に美術室まで荷物持ちを命じた。もーこうなったらどこまでも! と妙な意気込みを見せながら、なんとか美術室まで無事に画材を運ぶ事が出来た。お、重たかった〜。

「御苦労さま。あとは家の者に取りに来させるから、君はもう帰っていいよ」

 美術室に着くなりかけられたその声に「だったら最初からそうしてよ!」と喉元まで出かかった言葉をグッと飲み込む。まだ合宿が始まってすらいないのに、早くも空気を悪くするわけにはいかないもの。あーあ、それにしても何で私って大道具を選んじゃったのよー。あんなにたくさん悩んで悩んで悩み抜いて、よりにもよって……一番? いや鬼頭先生に比べたら二番かな? とにかくワーストの方を選択してしまった。

「そう! それじゃあ私、帰るね」

 少しだけ棘のある言い方になってしまったけど、これ位は赦して欲しい。

「………」

 土屋君からの返事は無い。気を悪くされたかな? と少しだけドキドキしながら視線を向ければ、買ってきたばかりの画材を見ながら完全に自分の世界に入っていた。
 あー、なんだか虚しくなってきちゃう。他の所を選んでいたら、今頃もっと……。

 って、何も楽しむ為だけに参加してるわけじゃないんだ! そうだよ、一番――私なんかが一番みんなの役に立てる場所かもしれないって思ったから選んだんじゃない。土屋君の気まぐれになんか負けてたまるもんですかっ!



 落ち込みそうな気持ちを入れ替えて、私は一人帰路についた。


*****

 家に帰ってからの私は、なんだかモヤモヤとした気持ちでいっぱいだった。
 悩みに悩んで選んだ大道具。けれど初っ端からこんな調子で大丈夫なのかな。
 色んな不安が重なって、明日からの合宿のスケジュールとか、世間では夏休みだとかそんなことも忘れかけてる。
 おかげで手元はすっかり止まってしまっていた。