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私のやんごとなき王子様 土屋編

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7日目


 今日も朝からひたすらに描き続けている。

 昨日海で遊んだのがいい気分転換になったらしく、皆の雰囲気がどことなくはつらつとしている。

 私はというと、実は土屋君と水原さんの事が昨日から気になっちゃって、筆を運びながらも二人の様子を伺っていた。
 土屋君は相変わらず真剣な眼差しでキャンバスを睨んでいるのだけれど、その後ろの方では水原さんが、ちらちらと土屋君の事を見ていた。水原さんってもしかして……?

 ……って、何でこんなに二人の事が気になっちゃうんだろう?
 私には関係のない事じゃない!

 自分の中に沸き起こった、自分でもよく分からない感情を押し込めて、私は筆に集中した。


*****


 昼食を済ませた後、私達大道具担当班は調理室へと向かっていた。
 今日は私達が食事当番なのだ。とはいってもメイン料理を作るのはあくまでも宿舎のシェフの方々。私達は教育の一環として、担当班ごとに日替わりで1品を作るというのが決まりなのだ。

 1品とはいっても、全校生徒プラス先生の合計200人分の料理だから作る量がさすがに多い。
 私達が作るのはかぼちゃのスープ。

 かぼちゃって固くて切るのが大変なんだよね。こんな時、男の子がガツンと切ってくれると良いのだけど……。
 グッと力を込めてかぼちゃを切りながら、チラリと土屋君の方を見てみる。

「なんだい?」

 私の視線に気づくと土屋君は、腕を組んだままの姿勢で言い放つ。

「いや、あの。かぼちゃって切るの大変だから、手伝ってくれないかなぁ〜なんて」
「冗談じゃない。僕の手は描く為に存在するんだ。切る為じゃない」

 ……ですよねー。期待はまぁ……してなかったんだけど。
 でもでもちょっとくらいいいじゃない! ていうかこのまま何もしない気? それって全然意味が無いじゃない。