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私のやんごとなき王子様 土屋編

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6日目


 快晴快晴! 

 今日も朝から真っ青な空と海をどこまでも広げる景色を見つけて、大きく息を吸い込んだ。

 空の青と海の青、そして私が絵を描くブルーシートの部屋の青。青い世界に包まれて、私は大きく筆を走らせる。

 ふいに脳の片隅に昨日の土屋君が見せたあの自嘲的な笑いと、凛とした微笑みがよみがえった。胸の奥のさらにもっと深い所が、きゅうんと鳴いたような気がする。どうしようもない切なさと、少しだけ土屋君の事を知る事が出来たような不確かな自信に、絵筆を持つ右手がわずかに震えた。

 ちらりと土屋君の様子を横目で見ると、彼は真剣な表情で絵具を混ぜ合わせている。土屋君の手元で混ざり合う複雑な色合いは、そのまま彼の心を映し出しているような気がした。

「お疲れ様ー」

 お昼になり、さて食事にでも行こうかというタイミングで、大道具の監督をしている先生が部屋に入ってきた。

「お疲れ様です」

 口々に先生へと返事を返す生徒達を見ると、先生はにっといたずらっ子のような微笑みを見せた。なんだろう?

「みんなすっごく頑張ってるね〜! 絵具が渇くのにも時間がかかるし、今日は午後から夕方まで、海でリフレッシュしたらどう?」

 先生のその言葉を聞くと、皆わっと喜んだ。

 なんて素敵な提案!

 だってこんなに綺麗な海を前にして、中に入らないだなんて余りにも勿体なさ過ぎるんだもの!

 満場一致でその案は可決され、私達は午後から海に行く事になった。