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私のやんごとなき王子様 土屋編

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 口々に勝手な事を言いながら、大人達はぞろぞろ去って行く。次の取材先には華道界のプリンスがいるから、そっちを重点的に取材しようなどという無遠慮な声が、最後に耳に届いた。
 恐る恐る土屋君の方を振り返ると、彼は何事も無かったかのように再び大きなカンバスに向かっている。

「あ……」

 小さく声を漏らした。けれど、それだけ――。
 私にはそれ以上にかける言葉が見つからなかった。いくら土屋君の言い方に棘があったにしたって、あんな言い方って無いよ! 酷い。でも……。
 重い空気の流れる中、時間だけが過ぎて行き、やがて夕暮れになった。

「それじゃ、今日はここまでにしよっか」

 私がそう言うと他の子達もやれやれと言った感じで、大きく息など吐きながら筆を置く。

「それじゃ、また明日ね〜」

 なんて言いながら、各自部屋へと戻って行った。

 けれど私は戻る気にはなれなかった。
 室内には私と土屋君の二人だけだ。