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私のやんごとなき王子様 波江編

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 水原さんは元気で明るくて、少し負けん気の強い所はあるけれど可愛い子だ。潤君とならきっとお似合いのカップルだろう。そう――私みたいな、もうすぐに卒業してしまうような人間より、よっぽどお似合いだと思う。
 来年になっても潤君と水原さんは同じ制服を着て同じ学校に通える。ううん、再来年だって。――私は?

 今の関係のまま――仲の良い先輩と後輩という関係のまま卒業してしまえば、私達が会う時間なんて、ほとんどなくなるだろう。そんなのは嫌だ……!

 ……私、潤君の事が好きなんだ。

 どうして今この瞬間にこんな事に気付くんだろう。人が告白しているのを立ち聞きして、そして自分の気持ちに気付くなんて……私は最低だ。

「ねぇ、潤。考えておいてよ。今すぐにこの場で答えを出せっていうんじゃないからさ。ただ……伝えておきたかっただけだから。今日の所は」
「水原……」
「でもさ、私と潤ならぜーったいお似合いのカップルだと思うんだけど? そんでさー、来年も再来年もずーっと校内ベストカップル〜っていう感じ?」
「お前なぁ」

 水原さんはおどけたように話しているけど、彼女の思いが真剣なのは十分に伝わってくる。だって聞こえてくる声が、ときおり震えてる。

 ダメだ。これ以上は――。

 私はそっと階段を昇った。1つ上の階に上がると、その廊下を全力疾走して部屋へと向かった。
 あれ以上聞いてなんていられなかった。

 潤君は何て返事をしたんだろう?

 告白する勇気も無いくせに、そんな事だけは気になってしまう。
 私はズルイ――――



 喉に熱を感じて、私は自分が泣きそうになっている事を悟った。