小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

私のやんごとなき王子様 波江編

INDEX|3ページ/62ページ|

次のページ前のページ
 

 星越学園の図書室は一つの大きな図書館のようになっている。とても広い館内には大抵の本は勿論、DVDなどの映像作品も揃っている。

「何を探してるの?」

 小さな声で波江君に尋ねる。

「白鳥の湖のDVDと、白鳥の湖のシーンが描かれた絵画の入った画集を何点か」

 潤君も小さな声で返してくれた。
 なんでもバレエ的な動きのしなやかさも、演出家はこの舞台で表現したいらしいのだ。そしてそのイメージを掴むためにDVDや画集を必要としているらしい。本当に本格的なんだなぁ……と今さらながらに実感する。
 まだ決まっていないキャストは、この後4時30分から、くじと投票で決定される。私なんかセリフもないような役だろうけど、それでも他の皆の足を引っ張るような事だけはしたくない。

 たくさんの棚の中から目当ての棚を探し出すだけでも一苦労だ。それでも何とか分類表を見ながら、画集のある棚へと辿り着いた。

「それじゃ、色々見ていこうか」
「はいっ!」

 棚には上から下まで様々な画集が並べらている。

「よし」

 私は一つ息をはくと、設置されている梯子に登った。

「先輩っ、上の方は僕が見ますっ」

 下から小声で潤君が声をかけてくれる。

「大丈夫、大丈夫―っとっと……!」

 潤君の方を向こうとした瞬間にバランスを崩してしまった。っていうかこれ――

「きゃっ!」
「先輩!」

 ドンッ!

「〜〜〜〜〜っ」

 声にならない声で私は呻いた。でも思ったより痛くない……? 思わず瞑ってしまった目を開くと、私は誰かに抱きとめられていた……ってコレって!?

「潤君?!」

 思わず大きな声が出た。図書委員が迷惑そうに発した咳払いが遠くの方で聞こえた。でも……でも……これって。

「大丈夫ですか? 先輩」

 頭の上の方から潤君の声がする。そうだ、やっぱり――私、潤君が受け止めてくれて……っていうか今、しっかり抱きしめられてるっ。