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私のやんごとなき王子様 波江編

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「なんかさ、違うんだよね」
「何が?」
「風名君や亜里沙様や……それに潤君も」
「はあ? どういう意味?」

 チラリとさなぎを見ると、椅子に座って訝しそうに私を見下ろしていた。

「最初から分かってた事だよ。本当に分かってたの……。住む世界が違うって」
「……」

 黙ったままさなぎは私の話に耳を傾けてくれている。

「さっき取材の人達が来たの。たくさんの人にいっぱいワケ分んない事聞かれて……私、完全にパニックだった。」

 思い出すだけでも嫌な汗がにじんでくる。

「そしたら潤君が助けてくれたの。すっごい明るく応対して、取材の人達も、その場の空気も全部飲みこんでた。そんな事は風名君や亜里沙様だから出来る事だって思ってた。でも違ったの。潤君は本当に自然に――私なんかを庇ってくれて……それで」

 もう言葉が出なかった。代わりに涙がボロボロと瞳から零れ落ちていく。

「美羽……」

 さなぎが悲しそうな顔でこっちを見ている。さなぎにまでこんな思いさせて、私は本当に何がしたいんだろう。

「美羽、私達はさ……そりゃ違うよ。芸能人でも無ければ良家の令嬢でもないし。なんてったって電車で現地集合だし?」

 そう言って少しだけおどけた表情を作るさなぎ。

「でもさ、そんな私達を――美羽を波江君は駅まで迎えに来てくれたじゃん。亜里沙様だってそうだよ。とりまきはともかく、亜里沙様はうちらにも優しいじゃん?」
「うん……」

 さなぎは私の顔を見つめると、にっこりと笑った。

「それってさ、きっと同じ学校に通う、同じ生徒だと思ってるからだと思う。芸能人だとかオジョーとか関係なくてさ、大切な――友達だって思ってくれてるんじゃないかな?」

 友達……?

「波江君は別に芸能界に通じてるとか、次期王子様とかそういう事じゃ無くてさ――きっと単純に‘そういう男の子’としてそこで取材を受けた方が、困ってる美羽を助けられるって思ってくれたんじゃないのかな。きっとあの子は……美羽の為にそういう役回りを演じてくれたんだと思うよ」
「私の為……?」