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私のやんごとなき王子様 波江編

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「なんとなく……そんな風に見えたんです」

 ああ、この子は本当によく私を見ていてくれてるんだな、なんて思うと胸の奥がじんわりと温かくなるような気がした。

「風名先輩も桜先輩も凄いですもんね! 僕も圧倒されちゃいましたっ」

 おどけたように笑う潤君。でもこれはポーズだ。私を慰めるための……。だって潤君は風名君に負けず劣らずの演技力だったんだもの。

「潤君……」
「でも、僕は先輩の演技が好きです! そりゃ……風名先輩達のようなプロのものでは無いかもしれないですけど……でもとっても真っ直ぐで、心がこもってて――僕はそんな先輩が」

 そこまで言うと潤君は言葉を濁した。

「えっと、そんな先輩と一緒に演劇祭に参加できて嬉しいです!」

 少しの間の後、潤君はそう続けた。その笑顔が眩しくて温かい。

「有難う、潤君」

 そう私も微笑みかけたその時――
 

「うわあああああ! せんぱーーーーーい! なにしてるんですかーーーっ!?」

 潤君が急に素っ頓狂な大声を上げた。
 何事かと潤君の視線を追うとそこには、柵を乗り越えて今にも海へと飛び込もうとしている土屋君の姿が!

「きゃあーーーっ! つ、つ、つ、土屋君! 何してるのーーーっ!」

 私も思わず大声で叫んでしまった。

「こっ、小日向先輩〜〜〜っ!」

 潤君が困った顔で私を見ている。
 一体何を考えてるの!? ‘あの’土屋君は!

 私達は慌てて土屋君の元へと駆けよった。