私のやんごとなき王子様 風名編
司会の大御所お笑いタレントの軽快なトークに、観客達もわっと声を上げて笑う。
番組も終盤に差し掛かった時、その司会者が玲君に話しを降った。
「そう言えば風名君は最近更に格好良くなったって皆言ってるけど、もしかして恋人でも出来たんじゃないの〜?」
私はドキリとして思わずマネージャーさんの顔を見上げた。
マネージャーさんは口をへの字に曲げ、無言で玲君を睨んでいる。
観客席からは「きゃー!」とか、「いやー!」という、悲鳴にも似た女性の声がたくさん上がっていて、罪悪感で申し訳ない気持ちになった。
皆のアイドルを、私は独り占めしてるんだ……
「カッコいい? 本当ですか? だとしたら嬉しいです」
笑って返す玲君。さすがだな。
「教科書通りの答えだなあ! で? どうなの、実際。恋人いるの? いないの?」
司会者がふざけた様子でそう言った次の瞬間だった。
「ああ、恋人なら今日来てますよ」
「えええーーーーーーーーっっっっ!?」
「嘘ーーーーーー!!!!」
「きゃあーーーーーー!!!!」
その場にいた全員が固まった。
もちろん私も。
なななななな、何言ってるのよ、玲君ーーーーーー!!!!!
私は全身緊張して、『ヤバイ』と頭の中で何かが叫ぶ声が聞こえ逃げ出そうと足を一歩踏み出した。
作品名:私のやんごとなき王子様 風名編 作家名:有馬音文



