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私のやんごとなき王子様 風名編

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「わ?!」

 進もうとしたけど体が動かず、驚いて見るとマネージャーさんが見事私の腕を捕まえていた。

「やっ、やばいですよ!」
「……いいから、ここにいろ」
「で、でもっ!」
「玲が何か言っても黙って笑ってろと言っただろ?」
「―――あ……」

 もしかしてマネージャーさんは何か知っていたの? だから黙って笑ってろって言ったの?
マネージャーさんの覇気に負けた私は力を抜いて、だって本当にこの人怖いんだもん……再び玲君の方へと視線をやった。

 まだ場内はざわめいている。
 そりゃそうよ、だってアイドルが平然と恋人がいるだなんて言ったんだもん。

「すごく、大切な人なんです。俺のすべてをかけて守りたい人……だから、どうか皆さん応援してください。静かに見守って下さい」
「いやあ! 男らしいね、凄いっ! すべてをかけて守りたいだなんてそうそう言える事じゃないよ! うん、オレは風名君を応援するよ!」

 司会者の言葉に、他のゲストも皆同じように応援すると声を掛けた。

「ありがとうございます」
 嬉しそうに答える玲君。

 嘘……言っちゃった……信じられない―――

 あんぐりと開いた口のまま、私は今度はあちこちから飛んで来るファンの応援の声に笑顔で頭を下げる玲君の姿を見続けた。

 心臓のドキドキが収まらない……

 玲君は今度こそ私を見て、にっこりと微笑んだ。
 恥ずかしさと嬉しさで、私は黙って小さく頷くしか出来なかった。
 全国放送で堂々と交際宣言をしてしまったのは、たくさんのファンがいる人気絶頂アイドルで、私の大好きな人。

 すごくびっくりしたけど、やっぱり恋人だって言ってくれた事が嬉しかった。
 この暖かい気持ちは玲君の言葉全てを受け入れたいという証拠。

 私はずっと玲君を信じて行くよ。


 そして私も―――私のすべてをかけてあなたを守るから。






私のやんごとなき王子様 ――風名編――   了