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私のやんごとなき王子様 風名編

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 あれから数ヶ月。夏が過ぎ秋になり、冬がやって来た星越学園は相変わらずで、受験を間近に控えた私達は勉強に追われていた。

 玲君は芸能の仕事を続けながら大学への進学を希望した。もちろん私と同じ大学だ。少しでも一緒にいたいからだって言ってくれた時の少しはにかんだ笑顔がとても可愛くて、思い出しては何度も一人ニヤケてしまう。

 今日は受験勉強の合間に初めてテレビ局に連れて来てくれたんだけど――と言っても本当は何度も誘ってくれてたのを私が断ってたんだけど……だってなんか恥ずかしくって――そして、初めて入ったテレビ局の中は人が多くてびっくりしてしまった。

 出演者だけでなく、あちこちでたくさんの人が忙しなく走り回って仕事をしている。玲君はこんなすごい所でずっと仕事をしてきてるんだ。
 テレビ局に入る時は別々だったけど、ファンの子がたくさん入り口の前にいて、SPの人に囲まれてファンの子達に手を振りながら歩く玲君を見て、目を何度も瞬かせた。

「それでは出演者の皆さん入ります! よろしくお願いします!」

 その声に辺りが一変した。
 今日は生放送の特番で、観客もたくさん入っていた。
 音楽と大きな観客の拍手がスタジオ内に響くと、セットの扉が開いて次々とテレビで見た事のあるタレントさん達が入って来た。
 本当に私は今、テレビ局にいるんだなあ。なんて、当たり前の事に感心する。

 ……あっ!

 最後に一際大きな拍手を受けて入って来た玲君の姿に、私は胸を躍らせる。

 いつも見てるのに、こうやってスポットライトを浴びている玲君はやっぱり人気アイドルなんだと、その格好良さと、自分との距離感に驚く。

 ドキ――

 一瞬玲君が私を見た気がした。
 私とマネージャーさんが立っているのはスタジオの一番後ろで、お客さん達が座っている場所よりも更に奥だから見えているはずはないんだけど……