小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

私のやんごとなき王子様 風名編

INDEX|74ページ/77ページ|

次のページ前のページ
 

後日談


「いいか、絶対に玲が何か言っても、黙って笑ってるだけにしろ」
「はい」

 私は今日、玲君のテレビ収録を見学させてもらうため、マネージャーさんにテレビ局に連れて来てもらっていた。

 もちろん付き合っているという事は内緒だから、今の言葉は私と玲君が仲良くしている所を人に見せないようにするための念押しだ。


 あの日、演劇祭が終わってから玲君に告白されて恋人同士となったのだけど、本当にこのマネージャーさんを説き伏せるのには苦労した。
 玲君は声を荒げないように、次々浴びせられるマネージャーさんからの罵声に耐え忍び、数日に及ぶ話し合いの最後、

「美羽と一緒にいられないなら芸能界をやめる」

 と言ったその一言で、それまで鬼のような形相と剣幕だったマネージャーさんも仕方なく私達の事を認めてくれたのだ。
 玲君の真剣な気持ちに負けたんだって、後で不貞腐れたように教えてくれた。
 ずっと何も言えずに隣りに座っていただけの私の手を、玲君はずっと握っていてくれた。「大丈夫」っていう励ましの言葉が、その手の温もりから伝わって来て、私は玲君の優しさを感じていた。

 お互いの両親への報告ももちろん済ませた。その時のママの驚きと喜び方は半端じゃなかった。だって“あの”風名玲が、お嬢さんと真剣にお付き合いしたいと思っています。ってスーツ姿で玄関の前に立ってたら、ウチのママじゃなくても大喜びだもんね。……まあ、パパはやっぱりちょっと心配だったみたいだけど、玲君の熱意と誠実さに私達の事を認めてくれたから良かった。

 玲君のご両親に会った時はガチガチに緊張して、何をしゃべったか、何をご馳走になったのかまったく覚えていない始末だった。けど後から玲君に聞いた話しではお二人とも私に対して良い印象を持ってくれたらしく、特に反対もなく許してくれた。

 これも全部玲君だから上手く行っているんだと思えた。
 だって玲君は本当に一生懸命で、真剣に打ち込んでいるから。