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私のやんごとなき王子様 風名編

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 風名君の顔はすごく真剣だった。少し伏せられた目は辛そうで、亜里沙様に言った自分の言葉に傷ついているようにも見えた。

「俺は桜の事は仕事上でのいい仲間だと思ってる。あいつは真面目にひたむきに仕事に取り組んでるし、同じような辛さも分かり合えるいい仲間だ――でも、それだけなんだ。優しい言葉ならいくらでも掛ける事は出来るけど、あいつのプライドがそれは許さないだろう。だから、ああ言うしか無かった」

 確かにプライドの高い亜里沙様の事だ。風名君が言った言葉以上を並べても、きっと必要無いと突っぱねるだろう。でも……

「おいっ、小日向っ!」

 私は走り出していた。あの、しっかりと前を見据えて背筋を伸ばし去って行った亜里沙様の美しい姿を追いかけて。