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私のやんごとなき王子様 風名編

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 目線を先にやると、亜里沙様の周りには相変わらず取り巻きが何人もいて、亜里沙様が作業をしようとするのを阻止しているのが見えた。きっと危ないから座っていて下さい、とか言われてるんだろうな。
 亜里沙様も皆と一緒に料理したり海で泳いだり、本当はやりたいんじゃないかって思う。だって私だったらたとえそれが仕事のためとはいえ、行動を制限されるなんて我慢出来ないもん。
 普通の高校生らしく学校に行ってお洒落して、友達と遊んで恋をして―――

「ん? どうした?」
「あっ、ううん。何でもない」

 無意識のうちに風名君の横顔を見ていて、私は慌てて首を降った。
 亜里沙様はもしかしたら風名君の事を好きなのかも知れない。なんとなくそう思った。身近にいる自分と似た存在。自然と思いを繋ぐには互いの苦労を分かち合える方が簡単だろう。

 じゃあ、風名君は?

「小日向さ……」

 急に真面目な声で呼ばれ、私は考えを中断させてもう一度風名君を見る。風名君は何だか恥ずかしそうに視線をずらして言った。

「さっきお菓子とか作るって言っただろ? その、俺さ、甘いもの好きなんだ」
「うん、知ってるよ」

 この間も購買のおばちゃんにチョコレートもらって喜んでたし、いつもファンの子からもらう差し入れはお菓子だもんね。それに風名君の甘いもの好きは有名だからもちろん知ってる。
 私が答えると、風名君は増々恥ずかしそうに笑う。

「いや、だから、さ……小日向が作ったお菓子食べてみたいなあ――って……」
「えっ?!」
「ご、ごめんっ! いや、無理にとは言わないから。その、もし何か家で作ったら、あまりを分けてくれるとかでいいからさ!」
 
 驚く私に、風名君が慌てて言葉を被せる。

「そ、それは別にいいけど、そんなにお菓子好きなの?」

 目を丸くさせる私に、風名君がうんと頷く。

「えっ? あっ、うん! そう! 特に手作りのお菓子って美味いじゃん」

 あははと笑う風名君に私は思わず吹き出してしまった。

「ふふっ。いつもたくさんプレゼントでもらってるのに、結構食い意地張ってるんだね」
「……あ〜、まあね」

 あれ? なんだかちょっと風名君の顔が引きつってる?