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私のやんごとなき王子様 風名編

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 良く分からないけど、今度お菓子作ってプレゼントしよう。お世話になりっぱなしだもんね。
 どっさりと切り終えたじゃがいもを大きなザルに入れ、私と風名君はこれまた大きな鍋へと投入した。

「さあ、他の材料も回収しようか」
「そうだな」
「きっと今日の夕食は大好評だよ」
「どうして?」
「だって風名君が一生懸命じゃがいも切ってくれたから」

 笑顔で見上げると、風名君も笑い返してくれた。
 亜里沙様と風名君の事はずっと気になってたけど、こうやって冗談を言いながら過ごせるのは本当に嬉しかった。
 予想もしなかった出来事で急遽オディールという大役をすることになったけど、風名君と演劇を楽しむんだって決めたもん! だからしっかりご飯食べて、睡眠をとって、台詞をしっかり覚えなきゃ。ヘタクソには変わりないんだから、頑張ってせめて皆の足を引っ張らないように演じるんだ。

 隣にいる風名君の心地よい声を聞きながら、私は今まで感じた事のない不思議な気持ちに胸を躍らせた。