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私のやんごとなき王子様 風名編

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 注目され続けながら歩くのって、すごい精神的にきついんだなあ。

 風名君って普段変装とかしないから、街を歩いてると大変じゃないかと思う。学校以外での風名君を知らないから分からないけど、無事に買い物出来るか心配。
 私のそんな不安を他所に、風名君は私の隣りを歩きながらごく自然に仕事の話しなんかをしてくれる。
 普段知ることの出来ない芸能界の裏側の話しはなんだか面白かった。

 そして気付けば目的の書店の前に到着。
 来るまでに何人かが風名君の事を見てひそひそ話してたけど、追いかけられたりもせずここまでは順調だった。

「白鳥の湖関係の本とDVDが欲しいんだけど……」
「演劇関係の書籍だよね。どこかな?」

 ビルがまるごと書店になっている建物の一階で二人して看板を睨みつけていると、

「あのっ、風名玲君ですよねっ?」

 女の子2人組がこちらへやって来た。
 とうとう来たかと私は変に肩に力が入る。

「はい、風名です」
 爽やかに答える風名君に、女の子達はきゃあと声を上げ、バックからノートとペンを急いで取り出した。

「あのっ、良かったらサインもらえますか!?」
「もちろん、いいですよ」

 すごい。風名君って本当にすごいなあ。嫌な顔一つもしないんだもん。
 サラサラとサインを書くと、優しげに微笑んだ。斜め後ろからそれを見ている私までくらみそうなくらい、カッコいい顔で。

「あっ、ありがとうございますっ! 桜亜里沙さんとのドラマ、毎週楽しみにしてます! お仕事頑張ってください!」
「ありがとう、頑張ります」

 満面の笑みで何度も手を振りながら去って行く女の子達を見送ると、風名君は何事もなかったみたいに私を振り返った。

「ごめん、騒がしくしちゃって。演劇関係って何階か分かった?」
「え? あ、うん。4階みたい」
「じゃあ行こうか」